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<コラム>JD-NET第8次システムサービス開始に伴う仕様変更とその対応策
JD-NETは日本の医薬品流通を支える商流EDI基盤として、2024年11月に第8次システムサービスを開始しました。この新しいシステムは、医薬品業界の将来のニーズに応えるための大幅な改良を含みますが、その仕様変更により、利用者や関連企業にとっていくつかの不安要素が生じています。本稿では、これらの不安要素を詳細に分析し、それぞれの課題に対する具体的な対応策を提案します。また、CACのサービスがどのようにこれらの課題解決を支援できるかについても言及します。

JD-NET第8次システムとは
1. JD-NET第8次システム概要
JD-NET(Japan Drug Network)は、医薬品卸売業者と製薬メーカー間で情報を効率的に交換するためのEDI(Electronic Data Interchange)基盤です。第8次システムでは、データフォーマットの大幅な変更が行われ、将来の医薬品流通業界のニーズに柔軟に対応することが目指されています。この改訂は業界全体で標準化されたデータ交換を実現し、効率性と透明性を向上させることを目的としています。
- ・法規制対応:新しい規制への適応
- ・トレーサビリティ要件:流通過程で商品の追跡性を向上
- ・国際標準コード(JANコード・GTINコード)への移行:グローバルな流通標準化
- ・付加価値情報の連携強化:医薬品卸と製薬メーカー間でより高度な情報共有
2. 改訂内容
第8次システムでは以下の主要な変更が導入されます。
- 1.データフォーマットの拡張:レコード長が250バイトから1000バイトに拡張
- 2.分割販売フォーマット追加:小分け販売への対応
- 3.生物由来ファイル廃止準備:将来的な廃止を見据えた卸販売ファイルへの統合
- 4.納入先漢字、共通コード等の項目追加:情報精度向上
- 5.統一商品コードからJANコード・GTINコードへの切替準備:商品識別コードの変更

仕様変更への対応
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JD-NET第8次システムに対応するため、医薬品卸・製薬メーカーはシステム改修を進めていくことになります。ここでは、前述の変更箇所に応じて懸念される事項と当社ソリューションでの解決方法を述べていきます。
1. レコード長拡張によるデータ処理能力への懸念
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レコード長が250バイトから1000バイトへ拡張されたことにより、多くの企業は既存システムでのデータ容量不足、データ処理能力の不足が懸念されます。特に、大量データを扱う企業ほど負荷の増大が予想されます。
- ・ストレージ容量不足:データ保存領域の拡張が必要
- ・処理速度低下:拡張されたデータサイズでの計算処理負荷の増加
- ・データ移行コスト:過去の伝票データとの互換性確保のための移行処理開発
大量データの高速処理は当社ソリューションの強みです。SaaS型の提供なので、インフラ管理も含めてお任せいただけます。
2. 分割販売フォーマット追加による取り扱い
分割販売フォーマットは、小分け販売への対応として導入されました。これにより、従来EDI外で行われていた情報提供が標準化されます。しかし、新しいフォーマットへの移行には以下の困難が伴います。
- ・運用プロセス変更:分割販売情報を管理する運用プロセスの追加
- ・トレーサビリティ確保:分割単位での商品追跡
卸販売データと統合することで、卸販売と同じように特約店と納入先の確認を可能とします。
3. 生物由来ファイル廃止の事前準備
生物由来ファイルは廃止され、卸販売ファイルからの情報取得が必要となります。この変更は、規制対応等におけるロット追跡プロセスに影響を与えます。企業は以下の準備が必要です。
- ・新旧データ一元管理:旧フォーマットと新フォーマットのデータを一元管理
- ・ロット追跡プロセス:プロセスフローの更新
過去の生物由来のロット・有効期限と卸販売のロット・有効期限を統合し、DB管理してトレースできるようにします。
4. 納入先漢字、実納入先コード、取引先共通コードの活用
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納入先の漢字情報の追加、実納入先コード・取引先共通コードの項目追加により、情報精度が向上します。この変更は以下の利点をもたらします。
- ・納入先識別精度向上:漢字表記により可読性が向上
- ・納入先追跡精度向上:一括購入後の納入先トレースが可能
- ・自社コード変換自動化・効率化:共通コードの利用による紐付け負荷軽減
当社ソリューションでは納入先紐付けの自動化に取り組んでおり、精度向上に役立てることが可能です。
5. 統一商品コードからJAN・GTINコードへの切替
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統一商品コードからJANコードおよびGTINコードへの切替は、国際標準化推進組織GS1 Japanによって管理されています。この変更は以下の影響をもたらします。
- ・マスタ管理負荷増加:新旧コード体系間での整合性確保
- ・システム改修コスト増加:統一商品コードからJAN・GTINへのシステム変更が発生
今回の対応にて、統一商品からJAN・GTINへの切替を折り込んだ仕様です。
6. NHIネット対応時期への不透明感
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NHIネットとの接続時期について明確なスケジュールが提示されていないため、多くの企業では計画立案や予算配分に悩まされることが予想されます。この問題は以下につながります。
- ・システム改修コスト:JD-NETと別タイミングでシステム改修が発生
- ・その他流入元:NHIネット以外にもデータ流入がある場合に同様の問題が発生
EDI統一データフォーマットとして同一の仕様変更を想定し、JD-NETと同時に組み込むことにより追加コストの発生を防ぎます。
まとめ
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JD-NET第8次システムによる仕様変更は、製薬メーカーにとって避けては通れないシステム対応となります。上記対応以外にも、コ・プロモーション先とのデータ連携など、大きなシステム対応負荷が予想されます。弊社サービスは、この変革期における課題解決だけでなく、お客様企業が持続的成長を達成できるよう包括的な支援をご提供します。また、弊社以外のソリューションをお使いの場合も、運用についてのご相談を承ります。並行運用期間はすでに始まっています。ぜひ一度ご相談ください。
この記事を読んで、少しでも気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
貴社に合ったご提案をさせていただきます。