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2020/6/1

これからのチームをつくるリーダーはどうあるべきか?

 昨年、経産省はこれからの人材マネジメントの在り方を「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」というレポートにまとめました1)。 そのレポートの中で、経産省は日本企業を取り巻く3つの変化を時代背景として取り上げています。それは、グローバル競争の激化、デジタル化の進展、そして少子化です。

 こうした連続かつ不断の変化する社会では日本企業が強みとしてきた集団的経営が通用しません。そのため経産省は、新たな人材マネジメントの在り方が必要であることを危機感を持って指摘しています。

 しかし、レポートではこれからの人材マネジメントについて総論をまとめているものの、これからのリーダーはどうあるべきか?という点については詳細に触れられていません。そこで本記事では不確実性の高い現代において、これからどのようなリーダーシップが必要なのかを考察します。

伝統的なリーダー

 まず、リーダーについて考える前に、企業組織におけるマネジメントはどのように誕生したのかを理解する必要があります。というのも、現在のチーム型組織が生まれたのは80年代ころからだからです2)。  現代のマネジメントの源流となったのが20世紀初頭にテーラーが提唱した科学的管理法です。工業時代を背景に生まれた科学的管理法により、 監督者が向上の各ラインを監督する仕組みが生まれました。

 その後、ライン管理の専門化が進み、次に生まれたのが官僚制組織です。 官僚制組織は同じ機能を持つ部門を一つにまとめ、中央集権型の統治を行う仕組みです。このような組織では、一人の強いリーダーが全てを管理することが効率的です。

 多くの企業では、現在でもこの科学的管理法と官僚制から端を発するピラミッド型組織による統治を行っています。そのため、これまでのリーダーはカリスマ性やトップダウンが求められてきました。

 また、こうした従来の組織では組織に所属する従業員はピラミッドの下の階層にいくほど自由度や権限がありません。末端の従業員はあくまでも定型的な仕事をこなし、裁量のある仕事は限られた上位者が担います。そのためこれまでの組織では、従業員はリーダーの指示に従うことだけが求められてきました。

チームとリーダーの関係

 80年代以降から「チーム」という概念が企業に導入されはじめました。今では当たり前のチームという概念は、実は歴史の浅い考え方です。  80年代初頭まで、企業は専門性の高い機能が集まった単なる集団でした。しかし、メンバー同士の協調を通じて業績を向上できることが少しずつわかってきました。つまり、チームは協調や協働を通じて業績を向上させる手段だと定義されます。

 チームは最初、特定の問題解決を行うために週に1回程度集まる問題解決型チームから始まりました。80年代のQCサークルが代表的な例です。その後、チームは常時メンバーが集まり、自ら自発的に業務を遂行し、時には管理者の業務を一部代行する自己管理型チームへと進化しました。

 では、チームにおけるリーダーの役割はどうあるべきなのでしょうか。現在、多くの企業で取り入れられているチームは自己管理型チームです。自己管理型チームでは、マネージャーが担っている業務をメンバーが分散して引継ぎます。またチームの前提として協働することで個人の総和以上の成果を創出することが必要です。

 そのため各メンバーはマネージャーの判断を仰ぎながら全員がリーダーシップを発揮し、自立的に協力しながら業務を遂行していきます。 自己管理型チームでは、リーダーであるマネージャーはメンバー同士のコンフリクトの調整、業務アサイン、メンバーへの助言・指導が主な業務です。

リーダーの役割はチームの心理的安全性を高めること

 では効果的なチームをつくるには、リーダーにはどのようなふるまいが求められるのでしょうか。 繰り返しになりますが、チーム協働により単なる個人の総和よりも業績を向上させなければなりません。メンバーがチームになることで、業績の低下が起こるのではチームの存在意義がないといえます。

 効果的なチームづくりは、まずリーダーが、チームの職務設計をすることから始まります。何のためにこのチームが存在し、どのような業務を担うのかを整理します。そのうえでリーダーがチームの共通の目的であるビジョンをチームの仕事の判断軸として示します。

 成功するチームはこうしたチームの存在意義、目的、目標を共有し、成果が上がる好循環を生み出しています。好循環が生まれるには、チームやメンバーの行動や結果に注目するのではなく、 メンバーの関係性にアプローチする必要があります。

 リーダーはチームメンバーの関係性を向上させるために、互いの意見を調整しお互いを尊重しあうように指導しなければなりません。 そもそもチームとは協調を通じて業績を向上させる手段であるため、協調性を向上させるためにメンバーに介入することはリーダーの中心的仕事と言えるでしょう。

 最近では成果を上げるチームについてさらに研究が進み、Googleが「心理的安全性」の高いチームが効果的なチームであることを発見しました。 心理的安全の高いチームは、メンバーが互いにリスクをとることを安全だと感じることができます。そのためお互いを信頼しやすく、失敗しても助け合えるような状況が生まれます。それにより協調が高まり、業績が向上する良いサイクルを生み出せるようになります。



チームの効果性に影響する因子


出典:Google Re:work
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/

リーダーシップの在り方は時代とともに変化してきました。それはリーダーシップ研究の変遷を見れば明らかです。



リーダーシップ研究の変遷

出典:VUCA時代に求められるリーダーシップの新たなカタチ(日本能率協会マネジメントセンター)
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/leadership.html

 

 リーダーは非リーダーと違う特性を持つことを明らかにしようとした1940年代の特性理論から始まり、1980年代にカリスマ性やビジョンを持ったリーダーによって 変革が行われることを明らかにした変革型リーダーシップ理論が提唱されました。 しかし不確実性の高い現代では、リーダーは自分自身が前に出るのではなく、メンバーひとりひとりがリーダーシップを発揮してお互いにコラボレーションすることを 支援することが求められています。

 これからのリーダーはビジョンを持ちつつも、メンバーを深く信頼しチームの心理的安全性を高めることを通じて業績を向上させるスタイルが主流になっていくでしょう。



(参考文献)
1)変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言~日本企業の経営競争力強化に向けて~(2019年3月、経産省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzai_management/pdf/20190326_01.pdf
2)新版 組織行動のマネジメント (スティーブン・P・ロビンス著、ダイヤモンド社刊)
3)Google効果的なチームとは何か?
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/
4) VUCA時代に求められるリーダーシップの新たなカタチ(日本能率協会マネジメントセンター)ttps://www.jmam.co.jp/hrm/training/leadership.html

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