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2020/6/1

BCP(事業継続計画)のすすめ

 新元号令和への改元、2020年 TOKYOオリンピックの開催、日経平均株価・NYダウの高値更新を報じるニュース、高水準を維持するインバウンド需要などの明るい話題を背景に、企業の倒産件数は1990年以降の30年間で3番目の低水準、負債総額にいたっては過去30年間で最少を記録1)するという企業にとっては好ましい状況にありました。

 一方、人手不足を起因とした、いわゆる人手不足倒産の件数は153件(前年比44.3%増)と、2013年の調査開始以降、最多件数を記録2)しており、近年の企業経営における重大な関心ごとの一つに人材不足の解消(または、生産性の向上)が挙げられていました。 そのような状況下、新たな経営リスクが顕在化しました。

 1月16日に国内1例目の患者が発生3)し、その後も感染者が増加している新型コロナウイルスの流行です。一旦は減少し、緊急事態宣言も解消されましたが、再び感染者は増加し今後第2波、第3波と当面の間脅威は続くと見られます。

 感染への恐怖心がインバウンドの減少や消費マインドの減退を招き、企業経営に甚大な影響をもたらしています。国では中小企業への支援策として各種融資制度や雇用に関する助成制度の拡充5)を図っていますが、その効果は未知数であるといえます。 自然災害が頻発し、大地震のリスクも高まる昨今、企業側において様々なリスクを見据えた自助努力や対応姿勢が強く望まれる時代といえるのではないでしょうか。

1.BCP(事業継続計画 : Business Continuity Plan)とは

 台風、地震、伝染病など事業活動を脅かす緊急事態が発生した際に、その影響を最小限に食い止めることで会社の中核となる事業の継続を実現、または早期の復旧を可能とするプランをBCP(事業継続計画)といいます(図1)。

 「備えあれば憂いなし」という諺を企業経営の規模で具現化したものともいえます。 有事の今は、BCPの重要性についてすんなり腹落ちする方も多いのではないでしょうか。しかし、これが平時の時はどうでしょう。目の前の売上目標の達成やノルマの達成に注力し、後回しにされがちなテーマではないでしょうか。

 2019年に実施されたアンケート調査によるとBCPを「策定している」と回答した企業は15.0%にとどまるという結果6)が出ています。多くの競合他社の事業が停滞している中、BCPを正しく策定し対応することで、有事の際には他社に先駆けた事業展開が実現できるといえます。BCPを策定し、正しく速やかに実施することで、収益性の面はもちろん、顧客からの信頼性向上・獲得という観点からも相当のアドバンテージを得られると思いませんか。

 

図1.発生からの時間経過と実施すべき対応

出典:中小企業庁 支援機関(自治体、商工団体、金融機関、士業等)向け中小企業BCP支援ガイドブック P.6
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo1.pdf



2.BCP(事業継続計画)策定の進め方

 では、BCP(事業継続計画)の策定手順を確認します。中小企業庁が提唱するBCPの5つのポイント7)は以下のとおりです。まずは下記に示す5つのポイントについて規定することをお勧めします。

①重要商品(事業)を特定すること

 自社の中核事業を特定しておくことで、緊急時の混乱、使用可能な経営資源の制約下においても意思決定の迅速化が図れます。


②復旧する目標時間を考えること

 復旧までの目標をあらかじめ定めることで非常時における迅速で適切なアクションを誘発します

 

③取引先とあらかじめ協議しておくこと

 仕入先や顧客等取引先との間で事前に協議を行うことで、非常時における連絡調整の円滑化を図ります。

 

④代替策を用意・検討しておくこと

 あらかじめ事業拠点や生産設備についての代替策を用意することは、復旧への時間短縮に直結します。

 

⑤従業員とBCPの方針や内容について共通認識を形成しておくこと

 組織内で認識を共有しておかなければ、どんなに立派なプランであってもただの紙切れです。

 また、企業を取り巻くリスクとしては、図2にあることが想定されます。自社が置かれた環境下におけるリスクを想定し、上記5つのポイントについてご一考されてみてはいかがでしょうか。

図2.企業を取り巻くリスク

出典:中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針 BCP関連資料 資料03
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_08_03.html



3.BCP(事業継続計画)の導入を

 BCPは何か特別で大きなアクションを伴うものと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、上記5つのポイントをよく見ると ①自社の中核事業を定義し、②経営資源を把握した上で適切に分配し、③関係者および従業員と情報共有を図る、ことに集約されます。これは日常の経営活動と似ていませんか。

 BCPを特別なものと捉えず、日常の経営改善、経営効率化の一環として取り組み、不測のリスクに備えてはいかがでしょうか。



(参考文献)

1) ㈱東京商工リサーチHP「年間全国企業倒産状況 2019年(令和1年)」
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2019_2nd.html
2) ㈱帝国データバンクHP「人手不足に対する企業の動向調査(2019年1月)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190207.html
3) 厚生労働省HP「新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.html
4) 厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年3月16日版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10226.html
5) 経済産業省HP「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
6) 帝国データバンク「事業継続(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190604.html
7) 中小企業庁 支援機関(自治体、商工団体、金融機関、士業等)向け中小企業BCP支援ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo1.pdf

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