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2021/1/29

成功の鍵は凡事徹底!人事部門のための雇用確保の基礎

 労働人口の減少は、現代日本の深刻な社会問題の一つです。
一方で、出産や育児、介護など、フルタイムで働けない事情を持つ人や、高齢者の雇用確保が企業に求められるようになっています。
本記事では、雇用・人材確保を考える上で押さえておきたい、組織のあり方について考察します。

コスト削減型ではなく高付加価値型へ意識を変える

 企業の利益は、コスト削減と付加価値の最大化によってサステナブルに確保されます。
しかしバブル崩壊以降、付加価値の向上よりもコスト削減を重視する傾向が、日本企業には見られました。経済の先行きが見通せないわけですから、不用意な投資は控えて、出ていくお金を絞ろうという動きが出るのも仕方のないことだと言えます。

もちろん、コスト削減は重要課題ですが、付加価値の向上を前提としなければ、長期的には企業業績を悪化させる事態を招きかねません。

なぜなら、コストの削減だけではステークホルダーを満足させられないからです。投資家は別かもしれませんが、従業員や取引先は、盲目的なコスト削減を好意的には捉えないでしょう。

強引なリストラや買い叩きは、会社に対する不信感を招き、ひいては従業員の生産性の低下や取引先との関係悪化にもつながるかもしれません。ただでさえ、ニーズが多様化している時代です。一度確立した収益構造をただ守ろうとするだけでは、継続的な成長は見込めません。優秀な人材を確保し、長く雇用を守るためには、コスト削減ではなく付加価値の向上を強く意識した、変化を恐れない組織風土を築くことが重要と言えます。

雇用ポートフォリオの見直しを図る

 多くの日本企業が実施する雇用制度は、1995年に日経連(現経団連)が発表した『新時代の「日本的経営」』の中に提示されている3つの雇用・就業タイプを下地にしています。

 しかし、進化し続ける情報技術やコロナ禍により、この雇用ポートフォリオは時代遅れになりつつあります。激動するビジネス環境に適応するために、企業は時代背景や自社の実態に即した雇用形態・働き方を模索しなければなりません。

例えば、テレワークへの対応です。時間・場所を問わない、成果主義の雇用制度を取り入れれば、これまで採用の対象にならなかった優秀な人材を確保できるかもしれません。

育児や障害などの理由で会社勤めができなかったり、地方で能力を持て余している人材が少なからずいるはずだからです。

既存の枠組みに捉われず、自社独自の柔軟な雇用ポートフォリオを創造するのも、これからの雇用・人材確保に欠かせない要素の一つと考えることができます。

多様化する雇用・就労形態に適応する

 厚生労働省が発表している雇用管理改善のリーフレット(取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保)によると、顧客満足度のみを追求する企業と、顧客に加え従業員の満足度を重視する企業とでは、後者の方が業績や人材確保の状況が芳しい、とされています。

出典:引用元URL:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保
(https://www.mhlw.go.jp/content/000502839.pdf)



 コロナ禍によりあらゆる業種・業態でビジネス環境が激変した今、国も生産性の向上・人材確保の支援に積極的です。
女性登用やワークライフバランス促進、テレワーク制度の導入やシフト制度の工夫など、従業員目線の雇用や就労形態の改革を対象とした助成金もすでに設けられています。

こうした改革には手間もコストも時間も掛かりますが、技術革新による働き方の多様化は不可逆の変化です。早いうちから取り組み、知見を蓄えるのが懸命でしょう

根拠のある人材マネジメントを行う

 コ少子高齢化社会の日本では、これからますます人手不足が深刻化することが見込まれています。 限られた人手を有効活用するためにも、企業の都合だけでなく、従業員の要望も踏まえた人材配置を行うことが大切です。

心理的安全性が従業員の生産性を左右する、という事実をGoogleが突き止めましたが、それと同様の経験則は、昔から確認されていました。

気兼ねなく自己主張でき、しかも組織がそれを黙殺しないという安心感を従業員が持っている企業は、客観的に見ても魅力的でしょう。

また、従業員同士がお互いに尊重し合う気風があれば、高齢者や女性の働きやすさも向上するはずです。

単純でありながら実現が難しく思える課題ですが、これは情報の透明性を高くすることで、ある程度までは改善が見込めます。頭ごなしに管理するのではなく、根拠を提示して、お互いにコミュニケーションを取りながら組織を運用するイメージです。

もちろん合意できる事柄ばかりではないでしょうし、従業員の意思を無視するような厳しい選択を迫られることもあるかもしれません。

それでも普段から根拠のあるマネジメントを行っていれば、従業員は高い確率でそれに応えてくれるはずです。

 情報革命が進み、日本のみならず、世界規模で働き方の大きな変化が起きています。海外への人材流出を避けるためにも、旧来の雇用制度からの脱却が不可欠と言える状況です。

業務を圧迫するルーチンワークはBPOサービスなどで圧縮し、人事部門が創造的な業務に取り組める土台を作ることが急務と言えます。



参考文献

1)人材確保対策 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000053276.html

2)「取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保」
https://www.mhlw.go.jp/content/000502839.pdf

3)Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/

ライタープロフィール
多田 真弥朗

様々な企業のマーケティングコンサルティグに関わる中で数多くの人材リクルーティング・人事部門の案件に従事。そこで培った人事部門系の豊富な知識をベースに独立し、コンテンツ ライターとして人事部門系、IT系、不動産投資といったテーマを中心に執筆活動を開始、現在に至る。

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