2021年9月にデジタル庁が新たに発足し、遅れていた官公庁のデジタル化、オンライン化が本格的に進みはじめました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、対面での会議が制限されるなか、昨年急速に利用が進んだものの一つに、オンライン会議があります。オンライン会議は場所を選ばずに開催でき、移動にかかる時間やコストを削減できるなど多くのメリットもありますが、対面で顔を合わせられないことにより、秘書は今までとは違ったアクションで上司をサポートしなければなりません。今回はオンライン会議の気遣いとして、すぐにでも実践できることをポイントとして3つお伝えしたいと思います。
まず1つ目は、基本的なことではありますが、ITリテラシーの向上です。オンライン会議ツールは様々なものがあるため、社外の方とオンライン会議の際に、必ずしも自社が導入しているツールを利用するとは限りません。端末もパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットで参加する場合に、どのような違いがあるのか理解しておくことが必要です。セキュリティ面でもツールの特性や設定方法の確認、最新バージョンへアップデートしておくことなども重要です。慣れていないツールであっても基本的な操作を理解し、上司にもすぐ説明できるよう独自にマニュアルを作成しておくと便利です。マニュアルは言葉だけではなく、スクリーンショットを活用するなど、画で見せることにより、相手が直感的に理解できるよう工夫するとよりわかりやすくなります。情報を精査しながら纏めるだけでも利便性の高いマニュアルを作ることができますし、理解を深めることができます。
2つ目は、スケジューラーとの連携です。スケジューラーにオンライン会議のURLを入力して管理されている方も多いと思いますが、必要な情報をある程度スケジューラーに纏めておくと、会議に入る前の隙間時間に上司が内容を確認できます。タイトルにオンライン会議のツール名を記載しておくと、上司が入室する際にスムーズですし、内容には先方との面談履歴や、メールのやり取り、通信上のトラブルが発生した際の連絡先なども忘れずに記載しておきます。情報量が多すぎてしまうと見づらくなってしまうため、わかりやすく色分けをしたり、協調したい箇所を太字にしたりするなどのちょっとした気遣いも必要です。当日の資料は、画面共有される場合でも、モニターなどの環境に依存する場合もありますし、資料の拡大やページ送りなどを各自が行えるように、可能なら事前にメールで共有してもらうと良いかと思います。
3つ目は、会議状況の把握です。オンライン会議の際に、秘書が困る点として「リモートで業務にあたっている際、上司がスケジュール通りにオンライン会議に参加しているのかがわからずに困る」という声をよく耳にします。対面であれば、会議が始まる際に上司の動向を実際に目で見て確認できるため、スムーズにサポートが行えますが、リモートでは状況把握が難しいことも事実です。会議をスムーズに始めてもらうために、上司にオンライン会議開始時刻の少し前にチャット等で一報を入れる方法もありますが、社内の会議であればメンバーが揃うまで、秘書もオンライン会議に入室しておけば状況の把握が可能です。社外とのオンライン会議の際は、セキュリティ上、参加者に入室を待機していただき、主催者が確認してから入室許可をすることが多いと思いますので、自社でオンライン会議を設定した場合は、秘書が入室許可処理を行うと、上司の手間を省くとともに、参加者の状況がわかりますし、参加者が入室せず会議が遅れるような場合でも、何らかの対策をすぐに取ることができます。会議の重要度や参加するメンバーなどによっても対応方法が変わってきますので、日頃から上司とよく相談しルールを決めておくことが必要です。
昨今ニュースでも取り上げられているように、GAFA株式時価総額が、日本株全体の時価総額を上回ったことからも、デジタル化への期待の高さがうかがえます。日本のデジタル化も大きな転換期を迎え、急速に様々な変化が起こっているなかで、今までのやり方を継続するだけでは対応できない状況になっています。オンライン会議一つとっても、秘書ができる気遣いは様々です。
既に皆さんが実行していることや、独自にルール作りをして運用していることも沢山あるかと思いますが、常に時代や相手のニーズに沿った柔軟な対応をすることで、秘書の新たなサポートの形を見出すことに繋がるのではないでしょうか。
このコラムの執筆者
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コムチュア株式会社 藤田 久美子 東証一部大手建設会社、食品メーカーなど、20年間秘書として従事。現職では未上場からJASDAQ、東証二部、一部の市場転換を経験し、2019年4月より秘書室長。一般社団法人日本秘書協会では、2015年より全国秘書会議実行委員、月例会委員のメンバーとして活動。2021年よりセミナー委員サポーター担当。 |